ノーレリーフねじ/外径の逃げ/逃げなし外径/ねじ山の逃げ量
主として金属加工用として一般に用いるタップに関する用語について規定しているネジ加工工具用語(タップ)において、”b)タップの要素”に分類されている用語のうち、『ノーレリーフねじ』、『外径の逃げ』、『逃げなし外径』、『ねじ山の逃げ量』のJIS規格における定義その他について。
金属部品などのねじ加工用の工具であり、主に下穴にめねじを形成するおねじ形のネジ加工工具であるタップの、種類(構造、機能、用途、ねじの種類、製造方法、溝の形態などによる分類)タップの要素、タップの角、精度などに関連する用語として、ねじ加工工具用語-第1部:タップ(JIS B 0176-1)において、”b)タップの要素”に分類されているねじ加工工具用語(タップ)には、以下の、『ノーレリーフねじ』、『外径の逃げ』、『逃げなし外径』、『ねじ山の逃げ量』などの用語が定義されています。
ねじ加工工具用語-第1部:タップ(JIS B 0176-1)
⇒【b)タップの要素】
分類: ねじ加工工具用語(タップ) > b)タップの要素
番号: 2045
用語: ノーレリーフねじ
定義:
ランド(※1)において、ねじ山の逃げ(※2)がないねじ。(350)
量記号(参考):
−
対応英語(参考):
no relief thread,
concentric
分類: ねじ加工工具用語(タップ) > b)タップの要素
番号: 2046
用語: 外径の逃げ
定義:
完全ねじ山部(※3)の山の頂(※4)に施した逃げ。
量記号(参考):
−
対応英語(参考):
major diameter relief
分類: ねじ加工工具用語(タップ) > b)タップの要素
番号: 2047
用語: 逃げなし外径
定義:
フランク(※5)及び谷の径(※6)にだけ、半径方向の逃げを施したねじ。(353、354)
量記号(参考):
−
対応英語(参考):
no relief major diameter
分類: ねじ加工工具用語(タップ) > b)タップの要素
番号: 2048
用語: ねじ山の逃げ量
定義:
タップの中心からねじ山までの半径が、切れ刃(※7)からヒール(※8)までの間に減少している量。
備考:
ねじの外径(※9)と有効径(※10)との逃げ量が違うものもある。
ねじ山の逃げ・ねじ山の逃げ量・マージン・マージン幅
量記号(参考):
St
対応英語(参考):
indicator drop for thread relief
(※1)
ランドとは、切れ刃からヒールまでの堤状の幅をもった部分のことです(下図参照)。
ランド・ランド幅
(※2)
ねじ山の逃げとは、ランドにおいて切れ刃からヒールにかけてねじ山に施した逃げのことです。
逃げの取り方によって、エキセントリックレリーフ(eccentric thread relief)、コンエキセントリックレリーフ(con-eccentric thread relief)などがあります(下図参照)。
ねじ山の逃げ・ねじ山の逃げ量・マージン・マージン幅
ねじ山の逃げ・エキセントリックレリーフ
ねじ山の逃げ・コンエキセントリックレリーフ・マージン幅
(※3)
完全ねじ山部(完全山部)とは、完全なねじ山の形をもつ部分のことです(下図参照)。
食付き部及び食付き部の長さ・先端径・面取り、完全ねじ山部、完全ねじ山部の長さ
(※4)
山の頂とは、ねじ山の両側のフランクを連絡する面のことです。
JIS B 0101(ねじ用語)にも規定があります。
(※5)
フランクとは、山の頂と谷底とを連絡する面のことです。
軸線を含んだ断面形では、一般に直線になっています。
JIS B 0101(ねじ用語)にも規定があります。
(※6)
谷の径とは、ねじの谷底(ねじ溝の両側のフランクを連絡する面)に接する仮想的な円筒(又は円すい)の直径のことです。
(※7)
切れ刃とは、すくい面が逃げ面につながる部分のことです(下図参照)。
(※8)
ヒールとは、逃げ面と溝とのつなぎとなる部分のことです(上図参照)。
(※9)
外径とは、ねじの山の頂に接する仮想的な円筒(又は円すい)の直径のことです。
(※10)
有効径とは、ねじ溝の幅がねじ山の幅に等しくなるような仮想的な円筒(又は円すい)の直径のことです。
この場合、ピッチ(ねじの軸線を含む断面において、互いに隣り合うねじ山の相対応する2点を軸線に平行に測った距離)が規定のピッチに等しいときは単独有効径に等しくなります。
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