構成刃先/溶着/切りくず詰まり
主として金属加工用として一般に用いるタップに関する用語について規定しているネジ加工工具用語(タップ)において、”f)タップ一般”に分類されている用語のうち、『構成刃先』、『溶着』、『切りくず詰まり』のJIS規格における定義その他について。
金属部品などのねじ加工用の工具であり、主に下穴にめねじを形成するおねじ形のネジ加工工具であるタップの、種類(構造、機能、用途、ねじの種類、製造方法、溝の形態などによる分類)タップの要素、タップの角、精度などに関連する用語として、ねじ加工工具用語-第1部:タップ(JIS B 0176-1)において、”f)タップ一般”に分類されているねじ加工工具用語(タップ)には、以下の、『構成刃先』、『溶着』、『切りくず詰まり』などの用語が定義されています。
ねじ加工工具用語-第1部:タップ(JIS B 0176-1)
⇒【f)タップ一般】
分類: ねじ加工工具用語(タップ) > f)タップ一般
番号: 6009
用語: 構成刃先
定義:
金属切削において、切削中に被削材の一部が加工硬化によって母材より著しく硬い変質物となって刃部(※1)にたい積凝着し、元の刃先に変わって新たな刃先が構成された状態になったもの(JIS B 0170(※2) 参照)。
量記号(参考):
−
単位(参考):
−
対応英語(参考):
built-up edge
分類: ねじ加工工具用語(タップ) > f)タップ一般
番号: 6010
用語: 溶着
定義:
めねじ加工中に、食付き部(※3)の逃げ面、フランク(※4)、山の頂(※5)又はすくい面(※6)に被削材の一部が付着すること。
量記号(参考):
−
単位(参考):
−
対応英語(参考):
welding
分類: ねじ加工工具用語(タップ) > f)タップ一般
番号: 6011
用語: 切りくず詰まり
定義:
切削中に切りくずが排出されずに溝(※7)に詰まる状態。
量記号(参考):
−
単位(参考):
−
対応英語(参考):
chip packing
(※1)
刃部とは、タップの切削に直接あずかる部分のことです。
切れ刃、すくい面及び逃げ面からなります(下図参照)。
(※2)
JIS B 0170 は、以下のJIS規格になります。
JIS B 0170
切削工具用語(基本)
この規格では、主として金属切削用として一般に用いられる切削工具に共通な基本的な用語及びその定義について規定されています。
(※3)
食付き部とは、タップが工作物に食い付いて、切削又は盛り上げながらタップ自身を案内する部分のことです(下図参照)。
(※4)
フランクとは、山の頂と谷底とを連絡する面のことです。
軸線を含んだ断面形では、一般に直線になっています。
JIS B 0101(ねじ用語)にも規定があります。
JIS B 0101(ねじ用語)では、一般に用いるネジの”ねじ基本”及び”ねじ部品”(座金・ピン・リベットを含む。)に関する用語及びその定義について規定されています。
詳細はこちらを参照ください。
ネジ規格・用語-ねじの種類,寸法,ボルト,ナット,タップ,インチ,管用,台形ネジ,加工等
(※5)
山の頂とは、ねじ山の両側のフラックを連絡する面のことです。
(※6)
すくい面とは、切削を営む主体となる面のことです。切りくずがこの面を擦過します。
(※7)
溝とは、隣り合った切れ刃とヒールとの間の切りくず排出のための凹んだ部分のことです(下図参照)。
溝・溝幅・溝底の径
[ タップ・ダイス・リーマ > タップの刃部の損傷,一般 ]